15/09/07

■ この書体の未来。

future-of-typeface.jpg
Font : COM4t New Japanese Typeface. Font Name "KMR4t" (Under Construction)


2015-09-07.jpg



街に出て、溢れかえる広告物を目にすると必ずある文字たち。あらゆる書体で表現されていて、私のような書体を作成している身には、とても楽しい。そして様々な思いに耽ることができる。

以前は「この書体ならこう表現するのはどうか?」とか「このロゴならこうしたらどうか?」とか、その書体で広告物を脳内でデザインすることを考えていた。
今でもそう思う癖がついているのでしてしまうが、最近は「この書体を自分の書体にするとどうか?」とか「このロゴを自分の書体にするとどうか?」と、グラフィックデザイナーとしてではなく書体デザイナーとして脳内変換していることに気づいた。

看板を見て変換している時は「離れて見ても読みやすいか?」とか、本屋で単行本の装丁を見て変換している時は「もう少し情緒があっても良いのではないか?」とか、ポスターを見て変換している時は「やっぱりパンチ力(インパクト)がないかな?」とか、いろんなことに想像力をフル活用している。

そうしてる時間はとても心地よい。この書体が完成していろんな人に使ってもらえて様々な広告物に使用され皆の目に触れる、「この書体の未来」。ただ夢見てるだけなのだが、未来を想像することは心地よい。そして書体開発の原動力は、「書体の未来」を夢見る力にあると言っても良い。


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15/07/26

■ 風林火山

fuurinkazan530.jpg
Font : COM4t New Japanese Typeface. Font Name "KMR4t" (Under Construction)



いやはやまたまた放置プレイしちゃったよ。また半年ぶりの更新になっちゃいました。。。
もう定番化してきそうでヤだなぁ。って自分のことじゃん!

この前フリ飽きてくると思うので、どんなに放置期間が長かろうともうしないことに決めました。半年だろうと1年だろうと放置プレイしたって「またまた放置プレイしちゃったよ」って書かないゾ! って放置プレイ前提かよ!

そんなことはさておき、今年のはじめに「清く正しく美しく」でアップした和文書体を作成してるって話を書いたのですが、その書体作ってたらもう一個違う書体も作りたくなってきて、今度は楷書を元にした書体を作りはじめています。前回のは隷書を元にしていて、今度のは楷書。これを同時並行して作っていると、中学生の頃に書道をやってたことを思い出すんですよね。

上の「風林火山」は、筆ではなくペジェ曲線で作ったデータを半紙の写真にコラージュしたものなのですが、自分の気持ちとしては、中学生の頃と同じく筆で文字を書いている気持ちと同じなんです。。。「え? 文字っていうことが一緒なだけで書道と書体とでは違うじゃん!」と思っちゃいますよね? いや書道と書体を同等に扱うとかそういう話ではなくて、書道をしてた気持ちを大事にしたいだけなんです。「筆で書く大切さ」というか「身体で覚える大切さ」というのかな? 知識だけの「意識」で作るのと、身体だけの「無意識」で作るのとでは違うというのかな? なんかどんどんわかりづらく書いてってますが、簡単に浅く言っちゃうと「頭だけで作るな」と。もっとわかりやすく書いちゃえば、ブルース・リー先生の言葉を借りて「考えるな、感じろ」的な? ちょっとズレてるかな? にゃはははは

とまぁ、こんな感じで和文書体を2つも一気に制作してるので、フリーフォントの更新はまだまだ先になりそうです。これから漢字をたくさん制作していかなければならないですから。もうお坊さんの修行のような日々です。頭も髪の毛がなくなってお坊さんのようになってますし(ピカーン!☆)

今のところフォントもブログも全然更新しない日々が続いてますけども、風林火山で喩えれば、”林”のごとし”山”のごとしで、静かに構えてどっしり構えて動かない感じですが、動き出す時は”風”のごとし”火”のごとしで、すばやく激しい勢いでまた活動しようと思っちょります!



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15/01/03

■ 清く正しく美しく


newyear2015.jpg

Font : COM4t New Japanese Typeface. (Under Construction)




ずっとこの書体と向き合ってきた2014年でした。
そして今年もたぶんこの書体のことを一番に考えていることでしょう。
そんな書き出しの2015年になりました。。。
新年あけましておめでとうございます。

このブログもフリーフォントも更新が止まっちゃってるので、復活しないとなぁ。。。と、たま〜にだけど気にはしていたので(たまにかい!)、まずはこのブログからと思い新年のあいさつをと書いているのですが、フリーフォントのことも忘れておらず、最近になってやっとGlyphs miniを買いました。
まだこのソフトの使い方を勉強中なのでいつになるかわからないのですが、いまあるフリーフォントすべてを微調整し、OpenTypeにしたいなぁと思っています。でも、上にアップした和文書体のことしか頭にないので、まだまだ先になるかなぁ。。。

この和文書体を思い付いてここに書いたのが2009年の5月27日。「曹全碑に見える地平」と題してワケわからんことをつぶやいてましたが、ここまで来るのに、あれからもう5年以上も絶ってしまいました。「隷書のお手本とされる曹全碑を見て、脳内に見えた地平をこの目で見たい」と作り始め、この5年間でやっと漢字・平仮名・片仮名・アルファベットの書法というか基礎が決まり、これから漢字を増やしながら平仮名・片仮名・アルファベットの微調整を繰り返していくというところで、この和文書体は完成ではなく“これから”という書体なんですよ。。。
亀のようにのろいですね。。。まぁいつものことですが。。。

あの時見た地平かどうかはもうわからず、
淡い想い出のように美しく消えてしまっているのですが、
たぶん5年前の自分がこの現状を見たら、
想像を越えた地平になっていると思うので、
このまま自分を信じて作り続けようと思います。
「清く正しく美しく」。


* * *


「清く正しく美しく」は安全地帯の曲からです。
何かに打ち込んでいたり、迷いがあったり、
何もできなくなったりしたことがある人には伝わる曲だと思います。
検索すると聞けるかもしれないですね。

posted by KATAYAMAC at 10:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

12/01/31

■ About popular

AboutPopular.jpg

Font : COM4t Rouder Regular (Free Font)



今回新作フリーフォントをリリースして気付いた話をたらたらと---。

「初めからこんなカタチにしようとは思っていなかった。」というのが今までほとんどであったが、今回は最初に目指していたカタチを最後まで追求した。途中ぐらついたりもしたが、初心を思い出し最初の気持ちを追求し通した。
今までの書体作成プロセスは、最初は全く違う切り口で始まったのに、あれやこれやと考えて書体を弄くりまわしている内に最終的には変わっていたりしていた。それはそれだけこの書体に自分の想いを込めて時間をかけた成果だと思っていたし、それだけブラッシュアップしたから完成度が違うと思っていた。でも今回のフォントを作成してみて間違いだと気付いた。

書体作成も「時間をかけさえすればいい。」というものではないことを。

昔、どこかのインタビュー記事でポップミュージシャンといわれる方が「この曲は2〜3時間ぐらいでつくりました。ごちゃごちゃ触ったりするとノリが悪くなったりするから。」のような言い回しだったと思うのだけれど書いてあって「それは音楽だからいいんだよなぁ。」と、心のどこかで書体開発とは違うものだと決めつけていた。でも今回、この「COM4t Rouder」を作成してわかった。

自分の想いをひとつの作品にどんどんと詰め込んでいく内に、他人の気持ちが入り込んでいく余地が無くなっていくのではないか。企画段階までは想いを込めていかなければいけないが、或る時点から自分という「主観」を出来る限り排除していくことを考えて作成していかないと「好み」が萎んでいくのではないか。ポピュラーを目指すのであれば、この自分の想い(主観)の入れ具合と時期を考慮したものが「ポップ」に成り得るのではないか。それは音楽だからいいのではなく何でも同じで、書体開発も同じなのではないかと。

かといって自分の書体が「ポップ書体」を目指しているのかといえばそうではない。自分の書体のほとんどが「ポップ書体」のカテゴリーに入ることはできないだろう。私には不得意な分野だとわかっている。そのカタチそのものではなく、またカテゴリーではなく、沢山の方々に好まれたいという「ポピュラーになりたい気持ち」の話である。


* * *


今回の書体「COM4t Rouder」は、平筆で書いたような書体を追求し、入りと止めを抜けるようにアールを持たせた、滑らかな印象を追求しました。また懐を大きく取りしっかりとした骨格にすることによって、「滑らかな印象」が「柔な印象」にならないように考慮しました。ただそれだけを追求したつもりです。あとはこの書体からみなさんがどのように受け止めるかは、あたり前の話ですが自由です。お好きなように判断してください。それとこの書体も他の書体同様、商用OK・加工OK・ライセンスフリーの、100%フリーフォントです。お好きなように使用してください。

なんやかんやと書きましたが、沢山の方々に使っていただきたいという気持ちを第一優先で配布していますので、ジャンジャンとダウンロード、よろしくです。


COM4t Original Free Font 2012.
COM4t Rouder Regular (Free Font)
Please DOWNLOAD!!!


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11/05/10

■ 素晴らしき嘘をつく


FamieBlack_Massege.gif



「素晴らしき嘘をつく」



書体を作成していて大体の形ができ、微調整を繰り返すたびに思う。
素晴らしき嘘をつこうと。
なぜならば、人というものは目が2つあり、左右のズレから生じる「錯覚」という現象がおきるから。また、左右だけではなく上下の判断も正確にできないような、元々狂いがある残念な動物だから。

例えば「H」の真ん中の横線は上下の中心に置くと下がって見える。だから数ミリ上に置くと落ち着いて見える。それと両脇の縦線と真ん中の横線の太さを同じにすると、真ん中の横線は太く見えてしまう。だから真ん中の横線は横線より数ミリ細くする。例えば「D」の左の縦線と右のアールの線の中心の太さを同じにすると縦線が太く見えてしまう。だからアールの線の中心は縦線より太くする。

このような「錯覚」は他にもたくさん存在する。
モニターに移し出される数値化された「正確」は、人には「正確」ではない。
だからこの「錯覚」を意識し「正確」な「嘘」をつく。

残念であるがゆえに素晴らしいのは「嘘をつく」ことではなく「正確に見えること」ことである。そんな素晴らしき嘘をつくために表現する。



* * *



もうすぐ上の見本でアップした書体をリリースします。
フォント名は「COM4t Famie Black」です。

これは昔リリースした「Familian」をリデザインしたものです。
新たに膨らみを足して、さらにやわらかく表現しました。
また読みやすさを考慮して長体であったものを正体にし、
「A」「a」「M」「&」を大きく変更しました。
それに併せて他のキャラクターも少し変更しています。

書体名は「Familian」の言葉の響きを感じられて、なおかつまったく新しく生まれ変わったイメージを持たせたいと思い、「Famie」にしました。
Familian」は家族を大切にしている方々に使ってほしいと願い命名しました。今度は「Family」に「ie」を足して、さらに「Home(家)」を意識しました。

Familian」はともやさんが運営しているサイト「FUKUTOYO」をイメージした約10年前のフォントです。「福島からの便り」を略して「FUKUTOYO」と名付けられている通り、福島で家族との日々を写真と日記で暖かく表現されています。
10年経っても変わらず好きなサイトであり写真達です。

この書体は3年くらい前からコツコツとリデザインしてきた書体です。あともう少しでアップできると思っていた矢先に東日本大震災が起き、福島ではあのような事が起きてしまいました。

正直迷いました。「今だからこそ支援という表現でこのフォントをアップしよう」とか考えましたし、逆に「そういう人の不幸を踏み躙った、いやらしい表現は良くないからやめよう」とも思いました。でも書体はできている。アップしてみんなに使ってほしい。それはこのフォントも変わらず想って作ってきた。でも私の中のどこかでブレーキがかかる。だったら支援とか考えずに表現したら良いんじゃないか。でも「Familian」のリデザインフォントということは「福島」というキーワードがみんなに浮かんできてしまう。でも、でも。。。どうしたら良いのかわからない。

だから私は自分に嘘をつきます。これが正解なのかはわからないし間違っているのかもしれない。ましてや素晴らしきことかどうかなんて今の私には判断できない。でもやらないよりやった方がいい。それだけはわかっているから。

自分自身に素晴らしき嘘をつけると信じて、この書体をアップしたいと思います。
身勝手ですみません。


posted by KATAYAMAC at 05:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

09/10/12

■ 気が変わった件について

Drify_FreeFromBuy.gif
New Free Font."COM4t Drify Light" is Reseased!



このエントリーを読みかえしていたら、そういえばBuy FontとしてこのLightも売り出すつもりでいたんだった。

なぜ「Buy FontではなくFree Fontにしたか」の件について語っておきますと、いつも新しいフォントを作成している時はどのフォントも売り出すつもりで作ってるんですよね。というか売ってもいいぐらいのフォントを開発してるんだという気持ちで。。。

いつかはBuy Fontとしてプロ仕様にして販売したいので、その時の宣伝フォントとしてこのCOM4t Drify Lightもフリーで配布することにしました。このLightや、他のウェイトのRegular、Bold、そしてそれぞれのItalicが揃ったファミリー書体「COM4t Drify Pro」が完成したら、新しくFFFのBuy Font Siteを作ろうとたくらんでおります。Huhuhu

今のところ、販売するためにプロ仕様にして
ファミリーを作成しているフォントは、

■ COM4t Fine Pro
■ COM4t Sans Pro
■ COM4t Nuvu Pro
■ COM4t Ongac Pro
■ COM4t Drify Pro
■ COM4t Familian Pro
■ コムフォート SOU (仮)和文書体

です。あぁ、すべて完成できるのはいつになることやら。。。
途方に暮れてタメ息が出そうだけど、
なぜか目だけはギラギラ。
これからも焦らず、しっかりと歩んでいきます。

進むべき道があるのは嬉しい。けれど苦しい。だから楽しい。
posted by KATAYAMAC at 01:13 | Comment(1) | TrackBack(0) | Font

09/10/07

■ About New Font...

Drify-images.jpg
New Free Font. "COM4t Drify Light"(Now on Resease!)


この忙しい最中にニューフォント「"COM4t Drify Light"」をリリース!

もうこの書体については過去に書いたので、このエントリーを読んでいただければと思います。

この書体が完成してCOM4t(FFF)にアップしようと作業していたら、ふと「この書体ってそういえば、自分がフォントをつくろうとなんとなく決意して作りはじめた、最初の書体だったなぁ」と思い出し、最初のデータってFont作成作業用MacG3のあのフォルダにあったような。。。と見てみたら、Illustrator 3.2のアイコンで残ってました。なんかそれ見てたら当時の事を思い出して嬉しくなっちゃって。

これを作りはじめた時は、たぶんMacIIciでIllustrator 1.9.3の頃だったと思うんだけど、それからQuadraになって3.2にいきなりバージョンアップして、、、それからは忘れてしまった。この頃は当時勤めていたデザイン事務所で、仕事の合間をぬってこっそり作ってなぁ。今は自宅のPowerBookG4で未だにIllustrator 8.0.1で作業しているケド、タイプフェイス作る時に必要なソフトの機能ってIllustrator 1.9.3で事足りるんだよね。というか進歩してないんだよなぁ。。。でも1.9.3の頃ってプレビュー状態で作業できないんだよね。アートワークで作業して、コマンド"Y"でプレビューするといった具合に。。。あの頃がなつかしいッス。

と、「ニューフォントについて」ではなく、単に昔をなつかしむオヤジのたわごとでした。ahahahah

あ! 画像はIllustratorの起動画面のヴィーナス誕生。CSになる前はコレが起動画面でした。
posted by KATAYAMAC at 22:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

09/08/01

■ New Free Font 2009 #01. coming soon...

Drify_comingsoon.gif
COM4t Drify Light (Coming soon)


COM4t New free font 2009 #01.
"COM4t Drify Light" is release!
Coming soon!
posted by KATAYAMAC at 06:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

09/06/25

■ 移ろいで行くもの

時が経つにつれ、好きなモノが変わっていくのが人というものだ。例えばいつも聞いてる好きな音楽が変わっていくのと同じように、好きな「書体」も変わっていく。もちろん昔好きだった書体も継続して好みの内に入ってはいるのだが、「一番好きな書体」も歳をとるにつれ、経験を積むにつれ、変化する。

以前、「石井明朝体」が好きとココに書いたところ、こんなブログなのになぜか検索すると上位にアップされるようになり、少々困惑していた。「大した事も書いてないのに、見に来てくれる方に申し訳けないなぁ。。。」と。それと「今、一番好きな書体は違うのに。」と気持ちが変化していた。じゃぁ「その書体名は何?」と言及されると、また検索で上位になる可能性があり、他の方に迷惑になるかもしれないので書かないでおくが、人の気持ちというものは時とともに移ろいで行くものである。

* * *

石井明朝体をデータ化してくれるサイトはこちら。

●NET-DTP SHINKA
http://www.net-dtp.com/

「人気書体サンプル」の項目をクリックすると見れます。また、写研も含めた膨大な数の書体を選んでアウトライン化(epsデータ化)してくれます。筆文字もオーダーできるようです。

* * *

なぜ写研がFont化しないかは簡単なことで、誰にでも使用できるFontにしてしまうと、見苦しい文字組みになってしまう恐れができ、その書体の良さが激減する問題が発生する。写研は文字ヅメや段落、その他すべてを含めて「書体」と考えているのだろう。その姿勢は良く解る。和文は特にそうだ。漢字・ひらがな・カタカナ・英数字が入り組んだ、複雑な和文を美しく、より読みやすくした書体というものは、文字組みの職人の手によって組まれて、初めて完成するものであり、本来そうあるべきだと私も思う。フリーフォントを配布している輩がそう言うのもおかしな話だが。。。


現在も文字組みの職人として活躍されている方の動画はこちら。


インタビュー「写真植字の時代」(DTPニュースvol.12)


「美しく完璧な書体」と、
職人魂の姿勢を通すか、
「人に使われて初めて書体と呼べる」と、
大勢の人々に配布する姿勢を通すか。

「書体」というものも、時代とともに、スピードとともに、
便利な方向へ移ろいで行くものである。
posted by KATAYAMAC at 21:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

09/05/27

■ 曹全碑に見える地平

souzenhi-seihon.jpg
曹全碑 製本


自分の中に或る視点を獲得すると、
今まで何度も出会ってきたものが、
突如、全く新しいものに見える時が来る。
その感覚はこの上なく心地良い。
嬉しさのあまり、この感覚は
自分だけにしか解らないと錯覚する程だ。

何故もっと早くに気付けなかったのだろう。
この曹全碑には、まだ見ぬ宇宙を感じる。

この新しい視点から筆法をペジェ曲線に変換する技を獲得したが、
はたしてこの私にどこまで和文書体化できるかはわからない。
しかし、今頭上に見える地平をこの目で見たい。必ず。

まるで、遠い未来を遥か太古の宇宙から見ている感覚だ。
恐ろしく、果てしなく、果敢なく、そして美しい世界だ。
posted by KATAYAMAC at 02:56 | Comment(3) | TrackBack(0) | Font

09/04/16

■ Thanks for Designer Daily news & Gigazine

ちょっと前に「COM4t Fine Regular」が紹介されました。
それからアクセス数が倍増。素直にウレシイですね。

30 high-quality free fonts for great designs
http://www.designer-daily.com/30-high-quality-free-fonts-for-professional-designs-1999

無料でダウンロードできる洗練されたフリーフォントあれこれ
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090413_high_quality_font/

有り難い。感謝。
posted by KATAYAMAC at 17:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

09/03/19

■ narrow daylight

前回のエントリーの続き。


エットーレ・ソットサスが見たであろう、
その緑の中を歩く時のBGMは、
ダイアナ・クラールの「narrow daylight」で。

その時に思った言葉を表す時の文字は、
現在作成中のフォント、「COM4t Sans Light」で。


narrowdaylight.jpg
COM4t Sans Light. Coming Soon.

無理をしない、素直で、煌めく、気持ち。
そんな言葉たちを表現したい。


Diana-Krall.jpg
http://www.youtube.com/watch?v=0XMZNI1qKh8
Diana Krall - Narrow Daylight: Video

ゆ〜くり、噛みしめるように聞きたい。
穏やかに、芝の上を歩きながら。
posted by KATAYAMAC at 04:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/12/10

■ いわゆるひとつのスクリプト体

Ascripta-Drawing.jpg
COM4t Ascripta -Drawing

今年ももう暮れにさしかかったところで、すべりこみのニューフリーフォントをリリース。まさか、今年中に3つもFontをリリースできるとは、今年のはじめには思っても見なかった。
本当なら、今年中にBuy Fontをリリースする予定だったのだが、こちらのFontがなかなかうまく作業がはかどらない。それと販売システムと英語の問題があったりと、二重の問題を孕んでおり言い訳けばかりが頭をよぎり、困ったものである。

それとは反対に新しい書体のアイデアがどんどん沸き上がり、今年だけでも5つも紙上にタイプフェイスができあがっており、その2つを吐き出した形だ。

今年出したフリーフォントを振り返ると、COM4t Nuvuは一昨年から作業にかかっていた書体だった。Regularと名付けている通り、いづれはBuy Fontとしてウェイトをそれぞれ用意したファミリー化を進めていくつもりだ。

COM4t Ongacは、フリーフォントとして渇望されているスクリプト体をフリーフォントにし、Buy Fontとして正体・斜体・プラスアルファされたフォルムと、ウェイトを用意していくファミリー化ではなく、フォルムを変形させていくファミリー化を思案している。

そして今回のCOM4t Ascriptaは、Base、Oblique、Leanとしたファミリーで構成された書体で、今回アップしたファミリーのみと今のところ考えている。このフォントはこれまで作成してきた書体の良い部分というか、個人的に気に入っているフォルムをすべて融合したらどうなるかを、やってみたかった。これのテーマは「Self Remix」。主にFamilian ElderとNuvuとOngacをリミックスしているが、これまで私自身が作成してきた他の書体のフォルムも混合されているだろう。

この書体を思案していく基礎になっているのはその名の通りBaseで、これを手書きで書いている段階で「もしかしたら逆の傾きの斜体でも成立する書体になるかも?」と思い、ある段階までできた時点でイラストレーター上でやってみたら、思っていた以上に面白い並びになったので、採用してみた。こんなスクリプト体ってありそうでないかもと思うのだが、どうだろう? あと書き順を無視しヒゲを後ろにつけ、連なるように見せてみたら、うまくリミックスできるのではないかと考えたのが始まりだった。アルファベットを母国語に持つ方々見たらどう映るのかも聞いてみたいのだが、英語が話せない私の最大の弱点がここでも露呈してしまっている。情けない話だ。

振り返ってみると、今年アップしたフォントはラインを意識したものばかりだったように思う。もちろんQuillineやMeltonのような曲線のみで構成しているフォントもそうなのだが、よりラインの美しさを重視し過ぎたフォントになっているのではないか。それによって可読性の低下の問題がおろそかになっているのではないか。今の私の解答はこのAscriptaなのだが、また新しいスクリプト体への挑戦もしてみたいと思っている。

* * *

長々と素直な気持ちで書いてみたのだけど、やっぱり言い訳けのように聞こえてしまっているのが、なんだかなぁ〜と。
でもまぁ真剣に取り組んでいるのは伝わったんじゃないかな?

"COM4t Ascripta" Download URL
http://com4t-fff.seesaa.net/article/110577800.html
posted by KATAYAMAC at 07:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/10/25

■ Music Music Music

この前の続きなんだけど、「どうやって届けよう?」「どう見せよう?」ということを気が付けば、風呂入ってる時・寝る前・移動中と、仕事をしていない時以外は、この事ばかり考えている。
「音」のかわりに「フォント(字形)」にすると、どう見せられるか? なんてワケわからんことばかりを考えながら過ごしてます。

今までにない新しい取り組みを思案するのって面白い。
どこまでできるかなんてわからないし、
そもそも実現できるのかもわからないけど、
やりたくてしょうがない。

今は具体的には話せないのがすごくもどかしい。
もっと早くに取りかかっていればなんて事も思ったりするけど、
この時代だから考え付いたことなんだろうな。とも思ったりします。

ん〜ワケがわからん!文章だなぁ。何が言いたいのか。
まぁ最近のボクの頭ん中はこんなカンジです。

あ。上の工事中の陸橋のみのシャシンはこの辺から撮ったものです。

きらく橋っていうんだ。なんか遺跡みたいで面白かったので。
posted by KATAYAMAC at 04:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/10/06

■ オンガクについて。

Ongac-CD_image.jpg
COM4t Ongac Script (Now on Resease!)

うわぁ〜メチャ久しぶりの更新。
いろいろと思うことや、やらなきゃいけないことがあってブログ書く気になれなくて。
でもずっと語りたいことがあった。
それはこのニューフリーフォント「COM4t Ongac Script (コムフォート オンガク スクリプト)」のネーミングについて。
うまく伝われば嬉しいんだけど。。。ポリポリ。


* * *


音楽っていいよね。みんなの心を浄化してくれるから。
あの曲で前向きになったとか、勇気をもらったとか、人生が変わったとか。
みんな誰しもそんな経験があるよね。

「音楽をリリースするように、フォントをみんなに届けることってできないのかな」
言葉を「音に乗せて」届けること。
言葉を「カタチで見せて」届けること。
その聴覚と視覚の違いだけで、
ミュージシャンもタイプフェイスデザイナーも想いは同じなんだ。私はそう言いたい。
フォント名を「オンガク」にしたのはその想いの決意表明です。

「想いは同じ」とは言うのは簡単で、問題は山積みだ。
まず、音楽とフォントは捉え方が全く違うもの。また「聴覚と視覚の違い」を「だけ」とは片付けられない。これは大きな感覚の違いがある事も解っているし、フォントを使うことと音楽を聞くことの「違い」はまだまだ沢山ある。このふたつの違いを踏まえた上で、音楽とフォントを同じにしたいのではなく、同じ気持ちで届けていることを知ってほしいということであって、なかなかこれが伝えづらい。そして何より「理論」よりも「想い」が先走って感情的になっているのも良くない。これでは私のフォントへの想いは伝わらないのかもしれない。
でもテクノロジーの進化で音楽もフォントもデータ化され同じようにダウンロードされる現在、みんなの意識が少しずつ変化し、私が積極的に行動に移せば、こんな未来を描けるのではないか。そんな夢を実現できるのではないかと----。

そして「ひとりでもいいから誰かの人生を変えてしまう程のフォントを作り届けたい」という想いも。


* * *


やっぱり恥ずかしいくらいに熱いし、意味わかんねーし、チョー重いね。
スゲー迷った。この文章載せるのまだ早いんじゃないかって。
でもこれが本音。
posted by KATAYAMAC at 11:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/04/14

■ ニューフォントのロジック(というかひとりごと)

P3281673.jpg
The "COM4t Nuvu regular" is release!

この前リリースした、コムフォート ヌーヴ レギュラーについて。
このフォントは元々「Naturalism Caslon」というフォント名で20年くらい前に作成していて、途中で行き詰まりほったらかしにしていた書体でした。その時に考えていたのは、自然界(草木)のラインで構成され、ローマン体でありながらスクリプト体のように流れがあって小文字が繋がりがある組版ができ、なおかつ気品のあるアールヌーヴォー調のような書体を作りたいと、かなり欲張りで作る前からコンセプトを持った、ある意味「いやらしい」書体でした。名前からして良くないしね。キャスロン体でもなんでもないのに響きだけでつけてるし。ははは。
まぁ名前はあとから変えられるからいいとして、一番の原因はロゴタイプを作成していくプロセスを辿ってしまったために、自分の中でコンセプト負けしてしまったんですね。

ロゴタイプを考えていくプロセスと、フォントを考えていくプロセスは違うと思うんですね。たぶん、優先する順位が。。。未だに今のボクには「答は空の上」なのですが、長年細々とグラフィックデザイナーをやってきて、そう感じてきているんです。あ、「答は空の上」は、この前のエントリーに書いたYUKIちゃんのプリズムに出てくるリリック参照。いい歌だね。人生になにかしら迷いがある人に聞いてもらいたい曲です。

その話は置いといてぇー。話をフィードバックしますと、ロゴタイプの場合はその一社のイメージを固定したいから、できる限りコンセプトを立てて考えていくロジックなのですが、フォントはいろんな場面でも使えるようにした方が良いと思うんですよ。その方が使う側の人に取っ付きやすいというか。あまりにイメージが偏っているとそのイメージにしか使えない書体になってしまうから。だからまずはどんなカタチの文字にするかを考え、組んだ印象であったり一文字のカタチといった「目に見える形」だけを追います。そのあとにイメージが出来上がっていくというか、作りあげていくというか。いやらしくない程度にね。

でもまぁ、ロゴタイプのロジックもアリなのかな? これほど沢山のフォントが出回っている昨今、そんなピンポイントなイメージのタイプフェイスもあっていいのかもしれない。そのやり方を良い悪いなんてことは誰も決められない。それは個人の趣味の問題なのかも。これを書きながら考えてみて「答は空の上」ではなくなったのかもしれない。。。

まぁそんなひとりごとでした!

最後にこのフォント名の由来はなにもありません!ただ響きだけでつけました。あと交わる部分をすべてアールにして優しいイメージに。また“g”や“f”のようなアーム部(であってる?)を内と外のアールを逆にし、削ったような面白みと足しました。あとは大文字だけで組むことを前提にしていないかもしれません。始めに書いたスクリプト体の要素が抜けきれてないです。でも逆に考えれば、大文字だけで組むと変わった印象の文字組になると思います。

いろいろ書きましたが、使っていただく方々には何も考えずにパッと見で選んでもらって、楽しんで使ってもらえれば、もうそれだけでウレシイです! ご自分の感性でいろんな場面で使ってやってください!
posted by KATAYAMAC at 04:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/03/06

■ 販売システム

NewFontImages02.jpg
New Buy Font Image Sample (Under Construction)

さて、このニューフォントをどう売るか? これは重要。
どこをターゲットにするか? これも重要。
いつもクライアントの気持ちを考えてデザインしていることが、
自分自身の気持ちを考えてデザインするとなると、
どこで折り合いをつけるか? かなり重要。
カタチだけではなく、販売システムまでできて、完璧といえるのだろう。

ホントに一番やっかいなクライアントは自分自身だ。
納期にはかなりルーズだが、これほど商品に対して
厳しいクレームをつける人を今まで見たことがない。
posted by KATAYAMAC at 22:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/02/29

■ New Font 作成中

C4tDrify-L_image01.jpg
COM4t Drify Light image Sample (Under construction)

A new font is being made.
It is thought that this font is sold as not a free font but Buy font.
Please wait for a while...



やっぱりちょっとはデザイナーブログの様相にしていかなきゃイケナイと思いはじめたので、デザインについて偉そうに語るのは次回にまわして、タイプフェイスデザイナーも名乗っているので、今回は今作成中のフォントの話なんぞを。

今はフリーフォントのみの配布を別ブログでやってますが、以前はシェアウエアフォントとして売ってたりもしてたんです。それでその時に売っていたフォントをもう一度復活させたいと思い、今ブラッシュアップをしながら作成中です。以前のフォント名「Drift Roman」は、キーボード上にあるキャラクターのみだったのですが、今回は「COM4t Drify Light」に名称を変え、ディフソングやリガチャー(合字)、そしてアクサン(アルファベットの上に付く符号)などを加えて、プロ仕様にして売り出そうかと思ってます。まずはこの書体を作成していく上で基本となったLightから販売していきますが、後々Regular、Bold、そしてそれぞれのitalicを作成し、販売していきます。

現段階はやっとすべてのキャラクターを作成・微調整し、フォントグラファーというソフトに落とし込むところまできました。さぁ、これからが今までのフリーフォントと違うところで、文字間のツメを一文字づつ調整していきます。これがなかなか大変で、どの文字が隣り合ってもキレイな文字間に見えるようにするのは、完璧には無理だとわかっていながら作業するのがツライのであります。でもあきらめません。誰が組んでもキレイな文字組をしてほしいから。

あのタイプフェイスデザイナー界で有名な小林章さんが、(2007年 小林章欧文タイプ・セミナー「実践アルファベット!」)というセミナーの中で、高岡昌生さんという方がよく例えに出していた話をされていて、これがすごくうまい喩え方をされていたので引用させていただきます。

>私(書体デザイナー)は一生懸命良いお米を作るお百姓さんです。それを使って料理をするのが板前さん(デザイナー)です。すし飯をつくるのにどのくらいの硬さでご飯を炊くか、というようなことです。ベトベトのすし飯を炊いたら、お客さんは離れていくかもしれない。ご飯の炊き加減の見極めと、それでお店が繁盛するかどうかは板前さんにかかっています。ただし、お米は必ずすし飯になるわけじゃない。

と言っておられました。私の書体もそうあるべきだし、そうありたい。
板前さんにおいしいすしを握ってもらいたいし、洋食屋さんのシェフにもすばらしいお米という素材を提供したいし、または毎日の献立を考えて家族においしいごはんを作っている主婦の方々にも。その様々な環境に適合させるには、この文字間のツメにはこだわらないとイケナイのです。これからが長い長い書体との戦いになりますが頑張ります。

* * *

2007年 小林章欧文タイプ・セミナー「実践アルファベット!」
http://www.tdctokyo.org/news/07kobayashi_01.html
posted by KATAYAMAC at 20:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/01/27

■ 書きながら考えてみる

PB121379.jpg
Nuvu Regular image sample #02

一文字の筆の流れか、組んだ時の文字の流れか。
分けて考えてしまうやっかいなタイプフェイスにしてしまった。
この事に約1年以上苦しみ続けている。

この書体は以前、もう15年前に作成した書体をまた新たに改変している書体で、以前のものはまだ組んだ時の流れや印象をなんとなくしか意識せずに骨格やエレメントを作っていなかったので、この書体の骨格やエレメントすべてを改変したとしても、土台(基礎)が悪いとどれだけ表層を着飾っても、やはり最終的に悪い部分が自分に帰ってくる。困ったカタチにしたものだ。もしかしたら規模は天と地の差があるが、土台や基礎がしっかりしていなければならないという点で、建築と同じなのかもしれない。

一文字のラインの美しさやカタチひとつづつは満足している。ここは以前のものよりも精密にブラッシュアップした。これ以上はないというところまで。。。
この考えが間違いなのか? 「これ以上ない」なんてモノはこの世にないのに。
歴代の有名なタイプデザイナーが見たら笑われてしまうかもしれない書体なのかもしれない。もっと勉強をしなければと、自問自答の繰り返し。

* * *

ということをリリースする前に作者自身がマイナスイメージを植え付けてどうする?といった感じだが、この気持ちを公表することで、新たな突破口が見いだせるかもしれないと思い書きながら考えてみた。いや見いだせるのではなく、行動に移すかもしれないと言った方が正しいのか。

数年経って見ても、震えがくるほどのすばらしい書体を目指して。
posted by KATAYAMAC at 13:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font

08/01/20

■ Nuvu

nuvu-sample.jpg

Nuvu Regular image sample

作成中の書体、ヌーヴ・レギュラー。
これはフリーフォントとしてリリース予定。
いろんなことに追われながらも、書体づくりだけはアタマのどこかしらに存在している。これは死ぬまで変わらない。自分にとってやらなくてはいけないことであり、自分自身であり続けるためであり。

最近、外へ飛び回って帰ってくるとMacの前でじっと書体とにらめっこ。あきてくるとcgiをイジイジ。あの記号だらけの文学を見るのが3年ぶりぐらいか。
posted by KATAYAMAC at 12:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | Font