11/01/11

■ あの文字のような線

CharactorsLikeLine.gif
Font : Quilline Script Thin (Free Font)



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遅まきながら、あけおめ。こんなカンジでたま〜に更新するので、ことよろ。
で、今年一発目はエッセイ風味で昨日あった出来事を書きまする。


* * *


あの文字のような線


Photo : 091024
Essay : 110111


 昨日の夕方、このクソ寒い中、スーパーへ食料を買いに行った。明日分の食料を買い、レジを通してリュックに買ったモノを詰め込んでいると、お母さんとカートに乗せられている小さな女の子が近付いてきた。そしてボクの隣にその子をカートから棚の上に乗せかえ、女の子を挟んでお母さんと一緒に詰め込み作業をする状態になった。それでたびたびその子と目が合い、ニコニコしていたんだけど、その子がおもむろに壁面ガラスに人差し指を向けた。この日もスーパーのガラスは寒さで曇っているので字が書ける。「何書くんだろ?」と思っていたら、字を書こうとしているんだろうけど、まだ文字を知らない年齢でぐちゃぐちゃな線だった。「ん?何かな?」のような顔をその子に無言で向けたらニコニコと笑ってくれた。ふたりでニコニコ顔になり、とてもほほえましい光景になった。

 幸せ気分のままその場を後にし、外に出て缶コーヒー片手にタバコを吸おうと思い、あの字の反対側にまわった。ガラスだから反対側からもあの字のような線が見られる。タバコを吸いながらぐちゃぐちゃな線を見ていると「は!」と忘れていた自分の過去が何十年ぶりに蘇った。そういえば自分も書いていた。文字が書きたいんだけど書けないから、ぐちゃぐちゃになった英語の筆記体のような線を書いていた。たぶんあれは保育園に行く前だから3才くらいだろう。親が仕事で使っている黒電話の横に置いてあるメモ帳に「これは ○○、これは○○」と言いながら、文字ではない線を書いていた。そんな無性に文字が書きたかった記憶も蘇った。

 現在、文字をつくることが好きで趣味を越えた趣味として、生涯の生き甲斐としてやっている。だからあんな小さな時から文字が好きだったことが嬉しくてたまらなかった。「この事を思い出させてくれてありがとう」と、あの子に感謝したい気分になった。

 オレンジ色から紫色へとグラデーションになった夕闇せまる寒空に、あの頃に書いていたあの文字のような線を脳内に描きながら帰る。空に誰にも邪魔されない、ボクにしか理解できないグラフィックデザインができた。


posted by KATAYAMAC at 07:28 | Comment(2) | TrackBack(0) | Essay
■ この記事へのコメント
誰かになにか伝えたい、というのは人間の本能でしょうか。
幼い子でも表現したいんですね。
伝えたくても手段がなくて、伝わらないことはわかっていながら、でも伝えたい。
文字があっても、伝わらないことはたくさんありますが。


いろいろなフォントを見るのが楽しくて、たまに散策してます。今日は、ここへたどりつきました。
ハジメマシテ。
美的知識は皆無ですが、同じ文字が様々表現されているのが面白くて好きです。
こちらの文字がとても美しくて、珍しくブログまで拝見させていただきました。

スーパーのひとこま、勝手に脳内映像化。
とても清清しい気分になりました。
Posted by みんみ at 11/01/22/ 14:13
>みんみさん

はじめまして。
こんな幼稚な文章でも、みんみさんの脳内に映像化できて、恥しくても書いて良かったです。
伝える技量がなくても、あの小さな女の子と同じで、伝えたい想いは伝わるものなのですね。

書体をフォント化させて皆に使ってもらえる喜びは、
あの当時には想像もできなかったけども、
また時代が過ぎ、あの小さな女の子が大人になった時に、
どんな表現方法ができているのかを想像するのも楽しいものです。
さてはて、すごい事ができる世の中になっているかもしれませんね。

今は和文中心にフォント作成をしていたり、また仕事で手いっぱいになっていて、
ここ最近はサイトの更新がままならないのですが、
またボチボチと頑張らないといけないと、
みんみさんのコメントを見て思いました。
がんばらろっと!

また更新した時にはいつでも気軽に書きこんでやってください。ぺこり。

Posted by KATAYAMAC at 11/01/25/ 19:28
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