Font : COM4t Rouder Regular (Free Font)
今回新作フリーフォントをリリースして気付いた話をたらたらと---。
「初めからこんなカタチにしようとは思っていなかった。」というのが今までほとんどであったが、今回は最初に目指していたカタチを最後まで追求した。途中ぐらついたりもしたが、初心を思い出し最初の気持ちを追求し通した。
今までの書体作成プロセスは、最初は全く違う切り口で始まったのに、あれやこれやと考えて書体を弄くりまわしている内に最終的には変わっていたりしていた。それはそれだけこの書体に自分の想いを込めて時間をかけた成果だと思っていたし、それだけブラッシュアップしたから完成度が違うと思っていた。でも今回のフォントを作成してみて間違いだと気付いた。
書体作成も「時間をかけさえすればいい。」というものではないことを。
昔、どこかのインタビュー記事でポップミュージシャンといわれる方が「この曲は2〜3時間ぐらいでつくりました。ごちゃごちゃ触ったりするとノリが悪くなったりするから。」のような言い回しだったと思うのだけれど書いてあって「それは音楽だからいいんだよなぁ。」と、心のどこかで書体開発とは違うものだと決めつけていた。でも今回、この「COM4t Rouder」を作成してわかった。
自分の想いをひとつの作品にどんどんと詰め込んでいく内に、他人の気持ちが入り込んでいく余地が無くなっていくのではないか。企画段階までは想いを込めていかなければいけないが、或る時点から自分という「主観」を出来る限り排除していくことを考えて作成していかないと「好み」が萎んでいくのではないか。ポピュラーを目指すのであれば、この自分の想い(主観)の入れ具合と時期を考慮したものが「ポップ」に成り得るのではないか。それは音楽だからいいのではなく何でも同じで、書体開発も同じなのではないかと。
かといって自分の書体が「ポップ書体」を目指しているのかといえばそうではない。自分の書体のほとんどが「ポップ書体」のカテゴリーに入ることはできないだろう。私には不得意な分野だとわかっている。そのカタチそのものではなく、またカテゴリーではなく、沢山の方々に好まれたいという「ポピュラーになりたい気持ち」の話である。
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今回の書体「COM4t Rouder」は、平筆で書いたような書体を追求し、入りと止めを抜けるようにアールを持たせた、滑らかな印象を追求しました。また懐を大きく取りしっかりとした骨格にすることによって、「滑らかな印象」が「柔な印象」にならないように考慮しました。ただそれだけを追求したつもりです。あとはこの書体からみなさんがどのように受け止めるかは、あたり前の話ですが自由です。お好きなように判断してください。それとこの書体も他の書体同様、商用OK・加工OK・ライセンスフリーの、100%フリーフォントです。お好きなように使用してください。
なんやかんやと書きましたが、沢山の方々に使っていただきたいという気持ちを第一優先で配布していますので、ジャンジャンとダウンロード、よろしくです。
COM4t Original Free Font 2012.
COM4t Rouder Regular (Free Font)
Please DOWNLOAD!!!