久しぶりに鉛筆を持った。サムネイル用の簡単なイラストを描くために。
それでふと書体のことが頭をよぎった。
マウスを使って手を動かすのと、鉛筆を使って手を動かすのとでは、頭の使っている場所は違うのではないかと感じた。これが正しければ、書体づくりにおいて単純に筆を持つことをおろそかにしてしまっては良い書体は作れないのではないかとオヤジの書を思い出し、ふと考えた。
書と書体とでは次元といったらいいのか、別世界といったらいいのかうまく言えないが、それ自体全然違うものということはわかってはいる。その大元の話ではなく、書体を考えていく過程で、最初からコンピュータを使用してペジエ曲線を意識しながら考えていると、発想が貧素になっていくのではないかと思うのだ。また自分には考えてもみなかった問題も潜んでいるのかもしれない。
もっと自由に、思考を解放させるために、シンプルな道具で考えることを意識したいと思う。既成概念にとらわれない書体を目指して---。